夫の顔を見たのは躁状態で入院をした時に見舞ったのが最後です。
半年かけて引っ越し先を決め、夫と住んでいたアパートを解約して引越しまで済ませました。
躁状態から鬱に入った夫は離婚話の間はおとなしかったです。
DVがあったので慰謝料請求を考えましたが、話を長引かせるのは得策ではないと考えました。
夫の親が介入してくるのも避けたかったので、引っ越しまでの半年間、夫は休職をしたので、社会保険の傷病手当を私がいただくことでチャラにしました。
銀行のキャッシュカードを預かっていましたが、離婚届と一緒に返送しました。
夫は傷病手当がもらえる間は勤め先の病院に籍を置き、その後退職したそうです。
それから3年間くらいは地方の総合病院の医局に籍を置いて名義貸しのようなことをしていたらしいです。

半年後、仕事が見つからない私は、離島のリゾートホテルの住み込みアルバイト、いわゆるリゾバに行くことになりました。
3ヶ月契約と言う話でしたが、続けられるなら延長してもいいかと考えました。
仕事はホテルの客室清掃でした。
言うて掃除の仕事だし、できないことはないでしょと思っていましたが、私が働いた高級リゾートホテルはコテージ式の建築で、客室が無駄に広いんです。
客室アメニティはカートに積んで、コテージの外廊下を伝って次々と客室を仕上げて行くんですが、シティホテルと違って、延々と廊下を伝ってワンフロアの掃除ができるわけではなくて、コテージは5室並びだったので、丘を駆け上がったり降りたり移動が大変でした。
大体ベッドメイク担当とその他の清掃担当の2名で清掃をするんですが、最初の一週間ほどは自由に体が動きませんでした。
私はリゾートホテルの直接雇用ではなく、ビル管理の会社の雇用だったので、寮がホテル内にはなかったので、食堂が使えず、自炊をするしかありませんでした。
離島の寮のある集落にはスーパー、コンビニ、外食施設がない、ないない尽くしで、集落に一軒かろうじてある共同売店には冷凍肉とビールくらいしか売っていなくて、島の人たちは野菜は各戸の敷地内で育て、魚は漁に出て取っていたようです。
島の人たちはすぐに顔見知りになったので、くださいと言えば野菜でも魚でも分けてもらえたと思うんですが、島の人には貸を作りたくなくて頼むことは避けました。
貸を作りたくないのは、何か分けてもらって親しくなったりしたら、お嫁さんに来て欲しいってなる恐れがありました。
離島には若い女性はひとりもいなくて、若い独身男は大勢いました。
島の集落に住んでいる若い男は大体長男です。
夕方になると誰かの家の前にたむろして、外飲みをしていました。
離島に行って間もない頃は島の男たちが「いっしょにビールを飲もう」と誘ってくるので邪険にもできず、少しお付き合いしたんですが、話が合わないし、男を立てろと圧をかけてくるし、全然楽しくないんです。
集落には夜這いの風習があって、万が一襲われて子どもができたりしたら、一生島から出られなくなります。
島の男と交流するのはリスキーと、それくらいはすぐに見当がつきました。

