リゾバを始めた時、事務所の責任者ポジションだったMさんの下の立場で、それでもリゾバ人員を束ねる位置にいたのがGと言う男性でした。
Gは小男でがっちり体型、髪型は伸びかけているパンチパーマで、愛想は良いけれど清潔感がない見た目で、私から見ると論外なルックスでした。
リゾバを始めた時に関係者が全員集まって歓迎会をしてくれました。
その時Gが色々と話しかけてくれたんですが、腕に彫り物が見えました。
数字のような小さな線彫りだったので、前科者かなんかじゃないの?と私は思いました。
いずれにしても関わりにはなりたくないです。
私の一瞬の視線に気がついたGはすぐに腕を隠したので、それからは仕事の連絡事項を伝達するくらいの距離になりました。
けれどもGはどう言うわけかモテモテでした。
花ちゃんと由美ちゃんと言うふたりのバイト生がGを取り合って恋の鞘当てをしていました。
花ちゃんも由美ちゃんも20代半ばくらいの年齢で、見た目は地味で、容姿に恵まれているタイプではなくて、恋愛経験も豊富には見えませんでした。
Gの愛想の良さに舞い上がってしまったのかと思います。
夏の恋ってハマると怖いですね。
花ちゃんと由美ちゃんは毎日、自分の分のお弁当を作る時にGの分まで準備していました。
それで今日は食べてもらえた、もらえなかったと一喜一憂していました。
お互いに罵倒したり殴り合いをするほど気が強い様子でもなかったので、私たち部外者はどちらに肩入れするようなこともなく、余計なことは言わない聞かないで見守っていました。
私たちが住んでいた寮には寮名主のような存在の町田さんと言う70代くらいのシングル女性がいました。
町田さんは現役で私たちと同じ客室清掃をしていたし、自炊もしていました。
町田さんは口数は少ないけれど、何か言われたら反抗せずに発言を尊重していました。
ある朝、共用の台所でお弁当を作っていたらしい町田さんが、窓から外の空き地を指さして「見てごらん、花とGがあんなところで朝から相撲とってるよ」と大きな声で言いました。
空き地は草ぼうぼうで、それに隠れるようにして絡み合う人影が見えました。
じっくり確認したわけではないんですが、赤いTシャツらしい人影と黒っぽい服装の人影でした。
町田さんは相撲、なんて婉曲な言い方をしましたが、あれはどう見てもエッチをしているようでした。
島にはラブホなんてしゃれたものはないので、ふたりは他にイチャイチャできる場所がなく、朝から欲望の赴くままに絡み合ったみたいなんですが、エアコンもシャワーもない草むらで、と言うのは勘弁してほしいと思いました。

この時はたまたまお相手が花ちゃんでしたが、同じことを由美ちゃんとしていてもおかしくはなかったです。
花ちゃんと由美ちゃんは私よりも前からリゾバをしていて、私が契約満了で島を出た後も牽制し合いながらリゾバを続けていたようなので、その後この三角関係がどう決着したのかは知りませんが、おそらく花ちゃんか由美ちゃんのどちらかが妊娠して、どちらかは泣いて島から離れたことでしょう。

